夏の日差しが照りつけるテニスコートではせっせと働いていた



                   ドリンクを準備したり、タオルを渡したり



                   あっちのコートへ、そっちのコートへとぱたぱたと走り回っている







                   「あ、先輩っ!」





                   「え?」





                   タオルとドリンクをもってうろうろしているに聞き覚えのある声がかかった







                   「あ、赤也!ちょーどいいところに!これ赤也の・・・」



                   「ん?なんスか?」





                   笑っていた顔が赤也を顔を見た瞬間に青ざめる





        

                   「赤也?!ね、ちょっとなんで怒ってるの?!あたし何かしたなら、ゴメン!」



                   「へ?俺怒ってないっスよ!」



                   「でもだって目、真っ赤だよ?・・」



                   「うっそ!」



                   「ほら・・・」







                   鏡を渡すと赤也は目の下を指で下げまぢまぢとみつめる





                   「マジだ・・どおりでさっきから目が痛いと・・・」



                   「なんで怒ってないのに目真っ赤なのかな?」



                   「わかんないっス・・・。あー!でもなんか気づいたら痛くなってきた!」





                   両目をゴシゴシとこする





                   「だ、大丈夫?あぁ、こすっちゃだめだよ!あたし目薬もってるから貸そうか?」



                   「・・・すんません、貸してもらえます?」



                   「うん。いいよ。部室にあるからとってくるね。」



                   「あぁ、俺もいくっス!」



                   「そう?じゃ行こっ」











                    

                   きらきらと輝く笑顔に少しドキっとする







                   もしかしたら、これって二人っきりになるよな・・!



                   そしたら、先輩といい感じになれっかも!!



             





                   と赤也は小さく見えないところでガッツポーズをしていた























                  「ちょーっとまっててね・・・」



                  部室につくとはロッカーからバックを取り出し、ピンクの可愛らしいポーチを取り出す

                  そこから目薬を取り出しポーチをバックにいれ赤也の元へと戻る





                  「はい。どうぞ♪」



                  「ぁ、どうもっス・・・」





                  

 

                  なんか・・・二人っきりなのに目薬普通にさすだけじゃおもしろくねぇよな・・・・

         



                  渡された目薬を見て、ぎゅっと握るとの手を掴み握らせる





                  「?赤也?」



                  「・・・先輩がさしてくれません?」





                  自分の目を指しにっと笑って見せた





                  「は?!え、だってさせるんでしょ・・・・?」



                  「いや、折角ならっつーか・・・なんつーか」



                  「・・・・・」



               

                  何か疑っているような目を赤也を見る





                  「そ、そんな目でみないでくださいよ!」



                  「だってぇー・・・・」



                  「・・・でも否定しないってことはいいってことっスよね?」





                  そういいをベンチに座らせると自分も隣に座り

                  太股に頭を置いた





                  「ちょ、ちょっとっ!!赤也っ・・!///」



                  「早くお願いしますよー。目痛いんスから」



                  「んなっ!何よそれーっ!・・・ったく」





                  一つため息をついたを見て赤也はにこにこ笑っていた





                  「はーい。じゃ、さしますよー」



                  「うぃーっス」



                  

                  瞼と目の下を押さえ少し上から目薬をたらす



                  目薬が瞳にかかると目じりからつーっと流れていった





                  「じゃ、反対側ー」



                  「おー」



                  

                  左目も同じく真っ赤になった瞳を潤し、目じりから流れていった





                  「はい。終わりましたよ。甘えん坊さん。」



                  ハンカチで流れた目薬を優しく拭く





                  「・・・・・で。赤也。なんで動かないの?」



                  「ぁー・・・その、なんか動きたくないんスよねぇー・・・・」



                  「なんで?」



                  「先輩の太股が気持ちいいから。」



                  「セクハラですか。切原クン。」



                  「違いますって!」





                  赤也の動揺にを少し笑ってしまう

 

                  そんな風に笑うを見て、赤也は微笑み目を閉じた





                  





                  きっと知らないんだろうなぁ・・・俺がこんなにもあんたのことを想ってるんだってコト。



                  いっつもにこにこしてて、コート内走り回ってて。



                  まぁ、その笑顔を他の人たちに見せるってのがあんま許せねぇけど・・



                  でもそんなあんたが好きだから、自分の近くにいてほしいって願っちまうんだ。







                  その大好きな笑顔がいち早く俺の物になりますように・・・・・−−−−











                  

                  

                  「赤也ー。早く部活戻んないと真田くんに怒られちゃうよ?」



                  「それは勘弁っスね・・・でも、少しの間だけでもいいんでここにいてもいいっスか?」



                  

                  あんたをこんなにも近くに感じられるこの時間を、誰にも譲らせたくないから





                  「・・・・え・・?」



                  「・・・俺、ほんの少しの時間でも・・あんたの傍にいたいから・・・・



                     今日だけ・・・甘えさせてくだ・・さい・・・」





                  言いたかったことだけを残すと赤也は眠りについた





                  「・・・・あ、赤也?・・寝ちゃったよ・・」





                  自分の膝の上で寝ている大きな猫を見ては静かに微笑んでいた



                  誰にも見せていないような、優しい笑みで。





                  「・・・よほど疲れてたんだろうな・・・」





                  くるくるしている髪の毛を優しく撫でる



                  



                  (後で真田くんにはあたしから言っておこう・・・・)







                  



                  蝉の音が聞こえるはずの部室には



                  甘えん坊な大きな猫と、可愛らしい少女と優しい時間があった







                  猫が目を覚ますまで、優しい時間は時を刻む・・・・


















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