不器用ラヴァーズ










        跡部が言った通りに、は10時前に間に合うように、9時45分に駅前に着いた

         すると彼は、中学生には見えないような大人っぽい服装をして腕時計を見ている

         通りすがりのほとんどの女性の目線の先には跡部が写っているだろう。

         それほどに、今の彼は学校にいるときよりかっこよく見えているのだ

         そして、じーっと見ているとそっちもこちらに気づいたようで、は小走りで近づいた


         「跡部ー・・ごめん。遅れちゃった・・もっと早く来るべきだったよね」

         「いや、別に構わねぇ。」

         「いつから此処にいたの?」

         「お前が来る15分くらい前・・だな。」

         「ええっ?そんな前からいたの?」

         「当たり前だろうが。女性を待たせるのは失礼だろ」

         「・・・う、うん」


         一応、あたしの事は女の子って思ってくれてるんだ・・・

         そう思うと、少しだけいい気分だった




         「それで?どこにいくの?」

         「お前は何処に行きたい」

         「・・・・へ?・・あたしはあんたの用事に付き合うんでしょ?」

         「待て。俺がいつそんな事を言った?」

         「え・・・だって・・「いいから。何処に行きたい?何処でも連れて行ってやる」


         跡部の唐突な質問には首をかしげながら

         今行きたい場所・・とゆうより、遊ぶにぴったりの場所を思い浮かべる


         「ええ?・・・・うん・・じゃあ・・遊園地・・とか?」

         「遊園地な・・・よし。行くぞ」

         「へ?・・ちょ、ちょっと待ってよ!」

       
         さっさと歩く跡部の後ろをは小さい歩幅でついていく





       





         車に乗り、何時間・・いやそんなには掛かっていないだろう。四十分くらいで

         都内の大きい観覧車が見える遊園地へと着いた





         「わ・・・・大きい観覧車・・・」

         「おい、ボサっとしてねぇで早くいくぞ。」

         「うん」



         早速、チケットを買って中に入るとカラフルな風船や愉快な、いかにも遊園地 という音楽が聞こえてくる

        

         「うわぁ・・・!すっごーい!」

         「・・・で?此処で何すんだ?」

         「とりあえず・・乗り物に乗る?」

         「何があんだ?」

 
        さっき店員に貰ったパンフレットをばさっと開き、アトラクションを目で追っていく


           「えーっと・・・あった。・・・・・んー・・まぁ定番はジェットコースターとかお化け屋敷、観覧車。とかじゃない?」

         「お前は何に乗りたい」

         「だったらジェットコースターがいい」

         「じゃ行くぞ。お前、怖いからって泣くなよ」

           「まさか。」



         はっと鼻で笑ってやると跡部もまた自信ありげな顔を見せる

         その後も二人は次々と乗り物に乗っていき、もだんだん楽しくなってきたのか

         自分から動き出すようになっていた。

         きっと、二人は傍から見れば恋人同士にでも見えたのであろう。

        

         「・・ねぇ、あれ。跡部様じゃない?」

         「あ、本当だ!・・・?あの隣にいるの誰?」

         「もしかして、最近跡部様の近くにやたらいる、って女じゃない?」

         「なんであいつと跡部様が二人でいるわけ?信じらんない!」

           「ちょっと最近、調子にのってるわよね・・・ちょっといじめてあげないと解んないのかしら・・」




         を睨みつけている女生徒の目は、誰かを殺しかねないような目だった


        




        「・・・・・・・はぁっ!楽しかったー!やっぱ遊園地は楽しいなぁっ!」

        「そーかよ。そいつはよかったな」

        「うん!本当楽しい!童心に返れるというか、なんというか!

                あのドキドキ感がたまらないのよねぇー!」


        あははと笑うを見て跡部は少し笑みを見せため息をついた


        「・・やっと、俺様の前で笑ったな」

        「・・え・・・・?」

        

        もしかして、ちょっとは・・・あたしのこと考えてくれたって事・・かな?

        何だよ・・・いつもこんな風に優しくしてくれればいいのに・・・


        遠まわしの跡部の優しさがすごく嬉しく感じる

        そっか・・跡部は不器用なのかな。


        本当は・・・いい奴・・なのかも・・ね。








         「ね、ねぇっ。ちょっと休もうよ!ほら、あそこにカフェあるみたいだし」

       
         の指の先に、ワゴンが見える。
 

         「そうだな・・・何か買ってくる」

         「うん。ありがと」


         適当に席につき、鞄を自分の隣の席に置くと腕をテーブルに置き辺りを見渡した。

         そして、レジのほうを見てみると注文を頼む跡部の姿が見える

         それの姿を見るとなぜだか自然と笑みがこぼれてきてしまう


         (跡部と遊園地に来た・・・なんてねぇ。に言ったらどんな反応するかな・・・

           ・・・・・ってゆうか・・これってデート・・・?なのかな?今思えば。

           でもまさかね。まさか・・・・・


          ・・・・・ぃ・・おい、聞いてんのか?」

          「・・えっ?!何?・・あ、おかえり」

          「飲み物何がいいのか知らなかったから紅茶にしたぞ。大丈夫だったか?」

          「う、うん。紅茶好きだし」

          「そうか、ならいい。後で買いなおして来るなんざ面倒臭ぇからな」


          出された紅茶を受け取り、軽くお礼を言う


          「なんか・・・今日の跡部妙に優しいね」

          「それを本人に言うとはお前なかなか良い度胸してるな」

          「そういうんじゃなくて・・・・まぁ、いいや。なんでもない」

          「アーン?気にかかるだろうが、最後まで言え」

          「なんでもないでーす。忘れてくださーい」

          「お前っ・・・・」


          適当にはぐらかし紅茶を飲む、を見て跡部は言葉につまり溜息をつく
          それを見てあははと笑い、空を見ると上が暗く、深いオレンジ色があたり一面覆っていた

          
          「もう、暗くなってきたね・・・帰らないと」

          「ああ、そうだな。帰るか」

          「うん」



          跡部の車に乗り、ふと窓の外を見るとオレンジ色のグラデーションから
          緑と青のグラデーションに変わっていた。はずっとその景色を眺めていた



          駅に着くと、もう本当にあたりは真っ暗だった。
          ライトが白く眩しい


          「じゃあ、ここで」

          「ああ」



          ここでさっさと帰ればいいものの、お互い動かず

          これではきまずい とは思い、口をあけた


          「あ、あの。・・今日は楽しかったよ。ありがとう」

          
          笑って、そのまま帰ろうとすると跡部に腕をつかまれる


          「

          
          名前を呼ぶと、髪の毛から頬に触れ耳元に顔を近づけられる

          ふわりと跡部の香水の香りがした。すると、手ははずされ

          髪の毛が風に吹かれる



          「いや・・・何でもねぇ。じゃあな」




          跡部はまた車に乗り込み、その車の後ろを見ながらあたしは

          さっきの行動が頭の中から離れなかった



          頭が重く感じる。駅から近い自分の家へ小走りで、それから走って

          玄関を開け、親の「おかえりー」という声も無視して自分の部屋へと駆け込んだ


          




          ドアを閉め、床にぺたりと座り込んだ

          顔が熱い 頭は重く少し痛む



         


          何・・・・?あの、さっきの跡部の行動は何?

          名前・・初めて呼ばれたし・・・・・頬に触れられて・・・

          胸がぎゅっと締め付けられるようなこの感触



          やつは一体あたしに何をしたのだろう




          触れられた温もりがまだ残ってる





          その日の夜 あたしはその事で頭が一杯になり眠れなかった。


















           アトガキ


           デート編。終わりました。

           このあと、跡部親衛隊の人々が出てきます。


           それと、忍足と、親友のちゃんにも変化が・・?!



           こうご期待であります。



           では櫓川でした。






         

 
          

          
    
         

           
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