君がくれた物は とても大きくて 僕一人では決して 手に入れることができない物ばかりだ












                                  きみのて














       吐息が白くなる、冬の寒い風が吹く午後


         は校門の直ぐそばの木の下で鳳を待っていた。


         黒からオレンジへと変わる空のグラデーションが実に綺麗である

         


         「・・・まだかなぁ」



         ぼそりと呟くと後ろからテニス部員の声が聞こえる
         そこをしばらく眺めて、少し長身の少年が見えるとの顔が明るくなった


         こちらに気づいたのか先輩達に頭を下げるとこっちへ向かってくる



         「っ!」

         は声に気づくとその場から離れ鳳に抱きつく


         「部活お疲れ様っ!」

         ぱっと顔を上げるとそっと頭を撫でてくれる


         「ずっとここで待ってたの?」

         「うん。」

         「そっか。じゃ、帰ろう」


         そっと手を繋ぐとはあることに気づく


         「長太郎手冷たいねぇ〜・・。」

         
         握った手を離して両手で包み込む


         「そうかな。の手が温かいんだよ。」

         「うーん・・・あ、手が冷たい人は心が温かいんだって。」

         「へぇ。ただの冷え性かもよ?」

         「でもでも、現に長太郎優しいじゃん!」


         くすくすと笑うと「そうかな」と答える

         は鳳の冷たくて大きい手をぎゅーっと握って笑っている


         「・・・じゃあ、俺が優しくなれるのはのお陰だよ」

         「え?」


         首をかしげて上を見るをそっと抱きしめる

 
         「が傍に居てくれるから優しくなれるんだよ

              俺、本当にのこと大事に思ってるから・・・」


         


         君が傍に居てくれるから、僕はありのままの自分でいられるんだよ

         絶対に傷つけたくなんかないんだ この手で僕が守るから











         「さ、帰ろう」


         「・・うんっ!」







         だから君はずっと僕の傍で笑ってて





         冷たい手は心の優しさを表しているんだよ



       
         僕が君を思う限り 君が僕の手を暖めてくれるから

       




                                          













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