重い足を上げて屋上にいくとそこには先客がいた





           「やぁー。あっくーん」



           「あ?」





           こっちを睨みつけている阿久津に俺は笑顔を見せる

 



           「久しぶりだねー。元気だった?」



           「みりゃわかんだろ 馬鹿」



           「ははっ。そぉだねぇ・・」



 

           何気ない返事を返すと阿久津は煙草を口から離し煙をだした

           煙は上へ上へと上がってゆく





           「ねぇ、一本頂戴よ。」



           「は?てめぇで買って来いや」



           「えー。いいじゃーん。けちーっ」





           俺がぷぅーっと頬を膨らまし阿久津の腕をつかむと

           何に参ったのか ため息をつき、煙草の箱とライターを俺の前に出してきた

           その行為に少し微笑むと、俺は煙草の箱から一本取り出して咥え、ライターで火をつけた



           苦い味が口の中に広がってゆく







           「にがっ・・・・」



           「ガキ」



           「なっ!俺がガキなら、あっくんもガキじゃん!」



           「ガキの遊びで年下に負けてる奴といっしょにされたかねぇよ」



           



           阿久津の言葉が頭のなかに深く突き刺さる

           俺は何も返すことができず、ただ黙っていることしか出来なかった







           「ったくざまぁねぇなぁ。エースのくせしてよぉ」



           「ははっ・・・まぁ、ねぇ・・・」





           

           そのとき阿久津が俺の胸倉を掴んできた



           「こんどそんなヘマしてみろ。ドたまかちわんぞ」







           ほかの人から見れば無茶苦茶な言い分だ なんて思うかもしれないけど

           俺にはそれが阿久津の最大級の応援の言葉だなぁ なんて思っていた





           「うん・・・」







           阿久津は胸倉を離すと煙草を床に落とし足で踏みつけ屋上から去っていった







           







           俺はテニスの試合で二年生に二回負けた



           二人ともすっごく強かった なんて言い訳になっちゃうけど



           甘く見てたんだな・・・って後からすっごい思った



           そのほかにも、ここがだめだったとか、あそこがだめだったとかいっぱい思いついたけど



           それ以上に悔しさでいっぱいだった





     



           「やっぱり・・俺ってまだまだ子供だな・・・」









           更かした煙草から煙が立ち上がる



           「ふ〜−・・・・・・・」



           ため息といっしょに煙を出す。そのとき上から声が降ってきた





           「未成年の喫煙は法律で禁止されてマス!」



           「って?!いつのまに?」



           「腹痛で保健室に行く途中にここに来ました」



           「あー。ちゃんサボりだ。いけないんだー」



           「あんたにいわれたかないわっ」



         

           ばしっと頭を叩かれる



           

           「なんで煙草すってんのさ」



           「大人の気分に浸ってみたかったのさ」



           「馬鹿じゃないの?煙草なんておいしくないじゃん」



           「うん。そうだねぇ。おいしくないねぇ。」



           



           ははっと俺が笑うとは俺の隣に座り込み顔を俯けた

           俯いた顔が何故か悲しそうに見えて

           すっていた煙草を床に押し付けた

           



          

           「あー・・その、ごめん・・・」



           「千石。」
 

           「な、何?」



           「いったい、一人で何を抱え込んでるの?」



           「へ・・・」



        

           



           「たまには弱音はいたっていいんだよ。泣いたっていいんだよ。



                  あんたは一人じゃないんだから・・・−−−−−−」







           

           一瞬 意味が分からなかった



           けど 抱え込んで悩んでいた何かが、するりと肩から落ちた気がした









           「それだけ!じゃね。」



           「まってっ・・!!」



 

           立ち上がろうとするにはっとして気づき俺はの腕をつかんでいた





           「?何?」



           「いや、ちょっと・・さ。」



  

           は頭に?マークを浮かべている



           自分で言ったくせに・・ねぇ









           「ちょ、千石?!」





           俺はつかんでいた腕を引っ張り、小さいの体を腕の中に収めた





           「・・・少しだけでいいんだ。こうさせて。」



           少しだけ抱きしめる力を強くすると
           は俺の制服をぎゅっと握り、首を微かに縦に振った





           の柔らかくて優しい香りが包み込む



           あぁ・・・俺は何を迷っていたんだろう













           優 し き 少 女 を 胸 に し て  俺 は ゆ っ く り 瞳 を 閉 じ た 。





































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